劇団☆新感線の代表作の一つである『阿修羅城の瞳』は、初めて映画館でテスト上映をし、ゲキ×シネの原点となった作品です。このたび、劇団☆新感線35周年を記念して、デジタルリマスター版として≪ゲキ×シネ≫上映されることになりました。 2003年、劇団☆新感線が、市川染五郎とタッグを組み、東京は新橋演舞場、大阪は大阪松竹座にて上演し観客を興奮の渦に巻き込んだ『阿修羅城の瞳』。 壮絶な過去を持つ〈出門〉役の市川染五郎は、飄々としながらもぞくぞくするほどの男の色気をあわせもち、鬼気迫る瞬速の立ち回りで観客を圧倒。その〈出門〉に近づく謎の女〈つばき〉と鬼の王〈阿修羅〉を見事に演じ分けた天海祐希は、その気風の良さと得も言われぬ美しさで観客を魅了。そして〈つばき〉を執拗に付け狙う〈邪空〉を演じる伊原剛志は、その尋常ならざる闘志と迫力ある存在感で観客を熱狂させました。 12年の時を経ても色褪せることのない、まるで歌舞伎のような様式美とエンターテインメントの真髄が掛合わさった唯一無二の本作。ぜひこの機会に映画館でお楽しみください。
時に文化文政。巨大都市江戸。
一見平和そうに見えるその裏で、人と鬼との激しい戦いが繰り広げられていた。
江戸の闇から魔を祓うために組織された特務機関“鬼御門(おにみかど)”
病葉出門(わくらばいずも・市川染五郎)は、そこで“鬼殺し”と恐れられる腕利きの魔事師だったが、五年前のある事件を境にそれまでの一切を捨て、今では鶴屋南北一座に弟子入りしていた。 が、謎の女つばき(天海祐希)との出会いが、彼の運命を狂わせた。
なぜか鬼御門に追われるつばきは彼に、「自分の過去を探してくれ」と頼む。彼女の瞳の奥に宿る何物かに惹かれていく出門。
執拗につばきを追う鬼御門の先頭に、出門と兄弟同様に育った安倍邪空(あべのじゃくう・伊原剛志)がいた。
鬼御門の頭領十三代安倍晴明を奸計にはめて葬った邪空。
が、彼は更なる力を求めて、鬼を率いる美形の妖かし美惨(びざん・夏木マリ)と手を組み、彼らの前に立ちはだかる。